居住用賃貸建物の仲介手数料の仕入税額控除の可否

Taxコラム

居住用賃貸建物の仲介手数料は仕入税額控除できる?

居住用賃貸建物の仲介手数料が、消法30⑩による仕入税額控除の制限を受けるか気になった方はいらっしゃるのではないでしょうか?実は管理人もその一人でした。
会計では、購入時に支払った仲介手数料は建物の付随費用として建物の取得価額に算入します。「建物であれば居住用賃貸建物として仕入税額控除が取れないのでは?」と考えるのは至極ごもっともです。ただ、仲介手数料は金額が安くないことが多く、仕入税額控除を取らない場合の影響が大きいこともあるため、一度しっかりと調べてみました。今回はその検討過程を記事にまとめました。

居住用賃貸建物に係る付随費用は仕入税額控除の制限を受けない

早速結論になりますが、居住用賃貸建物に係る付随費用は、消法30⑩の制限を受けません。
そのため、記事のタイトルである居住用賃貸建物を購入する際にかかった仲介手数料は、仕入税額控除を取ることができます。適切に用途区分する必要はありますが、仕入税額控除が全く取れないわけではないのでご注意ください。以下ではその理由を記載していきます。

居住用賃貸建物に係る付随費用が仕入税額控除できる根拠

居住用賃貸建物は、消法30⑩で次のように定義されてます。

第一項の規定は、事業者が国内において行う別表第二第十三号に掲げる住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含む。以下この項において同じ。)以外の建物(第十二条の四第一項に規定する高額特定資産又は同条第二項に規定する調整対象自己建設高額資産に該当するものに限る。第三十五条の二において「居住用賃貸建物」という。)に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。

定義から居住用賃貸建物=高額特定資産とわかると思います。
また、高額特定資産の判定に際し、消基通1−5−24で次のようにされています。

資産が高額特定資産に該当するかどうかを判定する場合における令第25条の5第1項第1号《高額特定資産の範囲等》に規定する「課税仕入れに係る支払対価の額」とは当該資産に係る支払対価の額をいい、当該資産の購入のために要する引取運賃、荷役費等又は当該資産を事業の用に供するために必要な課税仕入れに係る支払対価の額は含まれないのであるから留意する。

付随費用は高額特定資産の範囲には該当しないことが、通達から確認できます。

管理人の考え

消費税は、消法4①より資産の譲渡等に課されるものであり、資産の譲渡等という取引単位で課されるものと考えられます。これは間接税である消費税の性質を考えると当たり前のことです。建物の購入である資産の譲渡と、建物購入の斡旋である役務の提供は、当然別個の取引として考えるべきです。別個の取引である以上は、会計のように取得価額に算入して考える必要はないと思います。
余談になりますが、固定資産を利用した租税回避スキームが横行したために、防止策として調整対象固定資産や高額特定資産などの制度が設けられました。ここで初めて、消費税法は長期的に使用する資産に焦点を当てたと思っています。期間損益を前提にしていない消費税法に固定資産の概念が取り込まれた結果、税法が複雑怪奇なものになったと思っています。

さいごに

繰り返しにはなりますが、居住用賃貸建物に係る付随費用は、仕入税額控除を取ることができます。
例えば、経理処理上で居住用賃貸建物を購入する際に支払う仲介手数料を建物勘定に含めている場合にはご注意ください。

会計事務所経験者で良かった!在宅スタッフ募集【ジャスネット在宅スタッフ】


タイトルとURLをコピーしました