【令和7年度税制改正】防衛特別法人税の創設

Taxコラム

防衛特別法人税の創設

我が国の防衛力の抜本的な強化等に必要な財源の確保のために防衛特別法人税が創設されました。
法人を対象とする新税制になりますが、法人税法ではなく、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法(以下「防財法」とします。)で定められています。法人税法をいくら確認しても見つけられないので、条文を確認したいときはどうぞ気を付けてください。
今回は、新しく創設された防衛特別法人税の概要と影響を記事にまとめていきます。

防衛特別法人税の概要

防衛特別法人税は、防財法6~48にて課税標準の計算から申告・納付に至る一切の手続きが規定されています。
重要なポイントは2つです。

①納税義務者(防財法8)
各事業年度の所得に対する法人税を課される法人が納税義務者になります。

②税額計算(防財法13~20)
防衛特別法人税の税額は、以下の計算過程で算定されます。

ⅰ. 課税標準法人税額=基準法人税額-基礎控除額(年500万円)
ⅱ. 税額=課税標準法人税額×4%-税額控除
※留保金課税の対象法人及びグループ通算制度適用法人を除きます。

防衛特別法人税は、令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

防衛特別法人税の影響

防衛特別法人税の創設で、大きく分けて2つの影響があります。

①法人の納税額の増加
基準法人税額が基礎控除額を超える場合には、法人税等に追加して防衛特別法人税を納付する必要があります。
納税額が増えることで、資金繰りへの影響が懸念されます。

②法定実効税率の変動
防衛特別法人税が創設されたことで新たに税率が追加され、法定実効税率の計算式が変わります。

\(法定実効税率=\dfrac{法人税率×(1+地方法人税率+防衛特別法人税率+住民税率)+事業税率+事業税率(標準)×特別法人事業税率}{1+事業税率+事業税率(標準税率)×特別法人事業税率}\)

※防衛特別法人税の計算上は基礎控除額を控除しますが、基礎控除額の影響は最大で20万円(=500万円×4%)程度のため、上記計算式では考慮していません。

実際に計算すると法定実効税率は次の通りです。

改正前改正後
外形標準課税対象法人30.62%31.52%
外形標準課税対象外法人(標準税率)33.58%34.59%
外形標準課税対象外法人(超過税率)34.59%35.43%
※地方税は東京都の税率で計算しています。

法定実効税率が変わることで、繰延税金資産及び繰延税金負債の金額が変動し、法人税等調整額を通じて最終利益に影響します。
今回の改正は令和7年3月31日に成立しているため、令和7年3月期決算から法定実効税率の変動を考慮する必要があります。

管理人の考え

防衛特別法人税の納税が必要になる年間の所得ラインは、概ねそれぞれ以下の通りです。

所得ライン
下記以外の普通法人2,155.1万円
中小法人(適用除外事業者・通算法人)2,300.0万円
中小法人(所得10億円超)2,368.9万円
中小法人(所得10億円以下)2,437.9万円
※算定方法:基礎控除額÷法人税率(軽減税率の場合には、(基礎控除額-800万円×法人税軽減税率)÷法人税標準税率+800万円)
※留保金課税の対象となる場合には、上記所得ライン以下でも防衛特別法人税がかかることがあります。

国税庁から公表されている法人税の申告状況を見ると、令和5年度の実績で欠損法人の割合は約64%、残り36%の利益法人のうち所得2,000万円以下の割合は約80%です(参考:国税庁資料)。さらには、所得ラインが超えていても所得拡大促進税制等の税額控除により基準法人税額が基礎控除額を下回る場合があることを考えると、対象となる法人は限定的だと考えます。

さいごに

令和5年度税制改正大綱にて、将来的に防衛力強化に係る財源確保のための税制措置が講じられることが示唆されました。対象となった税目は、法人税・所得税・たばこ税です。
今回の税制改正では、防衛特別法人税の創設及びたばこ税の見直しがされましたが、一方で所得税に対する防衛力強化の税制措置はまだされておりません。
数%程度の増税予定ですが、目まぐるしく変わる世界情勢を考えると、今後も防衛力強化に関する税制措置には注目です。

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