提出漏れ?事業所税の免税点以下でも申告が必要?
免税点以下でも事業所税の申告が必要になる場合があることをご存知でしょうか?
事業所税とは、特定の地域で事業を行なっている事業者のうち、資産割であれば合計床面積が1,000㎡超、従業者割であれば合計従業者数が100人超の場合に課税されます。それ以外の事業者は免税点以下として課税がされず、原則申告自体が不要です。
一定規模が要件であることから、事業所税の対象とならない事業者が多く、一度も事業所税の申告をしたことがないという方も多いのではないでしょうか。かくいう管理人も実務ではまだ数回程度しか申告の経験がありません。多くの事業者が免税点以下として事業所税を放置しているのが現状だと思いますが、自治体の基準によっては免税点以下でも申告が必要になる場合があります。さらに、申告義務があるにもかかわらず申告をしなかった場合には罰則規定が存在します。
気づかないうちに申告漏れになってしまう場合があることから、今回は事業所税の免税点以下申告について記事にまとめました。
免税点以下で申告が必要になる基準及び不申告の罰則
記事作成時点で、事業所税の課税団体は77団体あります。免税点以下でも申告が必要になる基準は、その77団体ごとに条例で決まっています。77団体ごとに基準があるため、それぞれの基準を一覧表にしました。
| 都道府県 | 市区 | 資産割 | 従業者割 | その他 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 札幌市 | 800㎡以上 | 80人以上 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 北海道 | 旭川市 | 800㎡以上 | 80人以上 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 宮城県 | 仙台市 | 700㎡超 | 70人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 秋田県 | 秋田市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 福島県 | 郡山市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 福島県 | いわき市 | ー | ー | ー |
| 栃木県 | 宇都宮市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 群馬県 | 前橋市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 群馬県 | 高崎市 | 800㎡超 | 80人超 | ー |
| 埼玉県 | さいたま市 | 800㎡超 | 80人超 | ー |
| 埼玉県 | 川口市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 埼玉県 | 川越市 | 800㎡超 | 80人超 | ー |
| 埼玉県 | 所沢市 | 800㎡超 | 80人超 | ー |
| 埼玉県 | 越谷市 | 800㎡超 | 80人超 | ー |
| 千葉県 | 千葉市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 千葉県 | 市川市 | 800㎡超 | 80人超 | ー |
| 千葉県 | 船橋市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 千葉県 | 松戸市 | ー | ー | 市長が必要と認めた場合 |
| 千葉県 | 柏市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 東京都 | 東京都(23区) | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 東京都 | 武蔵野市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 東京都 | 三鷹市 | 800㎡以上 | 80人以上 | ー |
| 東京都 | 八王子市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 東京都 | 町田市 | 800㎡超 | 80人超 | ー |
| 神奈川県 | 横浜市 | 700㎡超 | 70人超 | ー |
| 神奈川県 | 川崎市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 神奈川県 | 相模原市 | 700㎡超 | 70人超 | ー |
| 神奈川県 | 横須賀市 | 800㎡以上 | 80人以上 | ー |
| 神奈川県 | 藤沢市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 新潟県 | 新潟市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 富山県 | 富山市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 石川県 | 金沢市 | 800㎡超 | 80人超 | ー |
| 長野県 | 長野市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 岐阜県 | 岐阜市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 静岡県 | 静岡市 | 800㎡以上 | 80人以上 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 静岡県 | 浜松市 | 800㎡超 | 80人超 | ー |
| 愛知県 | 名古屋市 | 800㎡以上 | 80人以上 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 愛知県 | 豊橋市 | 900㎡超 | 90人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 愛知県 | 岡崎市 | 800㎡以上 | 80人以上 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 愛知県 | 一宮市 | 900㎡超 | 90人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 愛知県 | 春日井市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 愛知県 | 豊田市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 三重県 | 四日市市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 滋賀県 | 大津市 | 800㎡以上 | 80人以上 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 京都府 | 京都市 | 800㎡以上 | 80人以上 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 大阪府 | 大阪市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 大阪府 | 堺市 | 800㎡以上 | 80人以上 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 大阪府 | 守口市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 大阪府 | 東大阪市 | 800㎡超 | 80人超 | ー |
| 大阪府 | 豊中市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 大阪府 | 吹田市 | 800㎡超 | 80人超 | ー |
| 大阪府 | 高槻市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 大阪府 | 枚方市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 兵庫県 | 神戸市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 兵庫県 | 尼崎市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 兵庫県 | 西宮市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 兵庫県 | 芦屋市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 兵庫県 | 姫路市 | ー | ー | ー |
| 兵庫県 | 明石市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 奈良県 | 奈良市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 和歌山県 | 和歌山市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 岡山県 | 岡山市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 岡山県 | 倉敷市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 広島県 | 広島市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 広島県 | 福山市 | 900㎡超 | 90人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 香川県 | 高松市 | 800㎡以上 | 80人以上 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 愛媛県 | 松山市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 高知県 | 高知市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 福岡県 | 北九州市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 福岡県 | 福岡市 | ー | ー | 前事業年度(前年)税額あり |
| 福岡県 | 久留米市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 長崎県 | 長崎市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 熊本県 | 熊本市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 大分県 | 大分市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 宮崎県 | 宮崎市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 鹿児島県 | 鹿児島市 | 800㎡超 | 80人超 | 前事業年度(前年)税額あり |
| 沖縄県 | 那覇市 | 800㎡超 | 80人超 | ー |
多くの自治体で、合計床面積800㎡、合計従業者数80人を基準としてることがわかります。ただ、“超“と“以上“の違いがあったり、上記以外の基準を設定している自治体や全く基準のない自治体もあります。自治体ごとに基準が異なるため、事業所別に免税点以下でも申告が必要になる基準の確認が必要です。
申告漏れが生じた場合には、自治体の条例に基づき10万円以下の過料が科されることがあります。
免税点以下申告及び罰則規定の根拠
免税点以下申告が必要な根拠は、事業者が法人の場合は地法701の46③、個人の場合は地法701の47③で規定されています。
事業者が法人の場合の条文は次の通りです。
指定都市等の長は、事業所等において事業を行う法人で各事業年度について納付すべき事業所税額がないものに、当該指定都市等の条例の定めるところにより、第一項の規定に準じて申告書を提出させることができる。
指定都市等の条例で、免税点以下でも申告義務が生じることがわかります。
条例の参考として、東京都都税条例188の17④の規定を載せます。
特別区の存する区域内において事業所等を設けて事業を行う法人又は個人で各事業年度又は各個人に係る課税期間について納付すべき事業所税額のないもののうち規則で定めるものは、法人にあつては各事業年度終了の日から二月以内に、個人にあつてはその年の翌年三月十五日までに、次に掲げる事項を記載した申告書を主たる事業所等の所在地を所管する都税事務所長を経由して知事に提出しなければならない。
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東京都のように規則で具体的な基準を定める自治体もあれば、条例で定めている自治体もあり、基準の定め方は自治体によって様々です。
次に、不申告に関する罰則規定を見ていきましょう。
罰則規定は、地法701の49の2で次のようにされています。
指定都市等は、事業所税の納税義務者が正当な事由がなくて第七百一条の四十六第一項若しくは第三項又は第七百一条の四十七第一項若しくは第三項の規定による申告書をこれらの項に規定する申告書の提出期限までに提出しなかつた場合においては、その者に対し、当該指定都市等の条例で十万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
上で確認したように、地法701の46③及び701の47③は免税点以下申告の規定です。
免税点以下申告が不申告の場合には、指定都市等の条例で10万円以下の過料が生じることがわかります。
先ほどと同様に、参考条例として、東京都都税条例188の17の2①の規定を載せます。
事業所税の納税義務者が正当な事由がなくて前条第一項、第二項又は第四項の規定による申告書をこれらの項に規定する申告書の提出期限までに提出しなかつた場合においては、その者に対し、十万円以下の過料を科する。
地法→指定都市等条例の流れで、免税点以下申告及び罰則規定の根拠を確認できます。
管理人の考え
事業所税の免税点の判定では、みなし共同事業や従業者数の著しい変動といった特殊な判定が必要になる場合があります。免税点以下申告及び罰則規定は、事業所税の課税漏れリスクを減らすために設けられたものと考えます。事業所用家屋貸付等申告書とあわせて、実効的な課税事務には必要不可欠だと思います。
さいごに
免税点以下でも事業所税の申告が必要になる場合を確認してきました。各自治体は、事業所税の手引きをWeb上で公開していますので、免税点以下申告の基準を確認するにはそちらが参考になります。一部の自治体では基準が記載されていないことがありますので、その場合には「〇〇市税条例」と検索し、条例を確認してみてください。申告漏れの場合には10万円以下の過料が科される可能性がありますので、申告義務があるかチェックを怠らないことが大切です。

